60歳まで続けた通訳人生 ー 私が歩んだ30年間

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はじめに ー 60歳になってから思うこと

私が60歳まで通訳者として仕事をしてきたことを知ると、驚かれることがあります。通訳者という仕事は、頭も身体もフル回転で使う仕事ですし、仕事に伴う緊張感も人一倍あります。そんな仕事を30年間、30歳から60歳まで続けてきたのですから、自分でも「よくやってきたものだなぁ」と思うこともあります。

ましてや同時通訳というと、特殊な才能や特別な訓練を想像される方も多いですが、私の場合は30歳の専業主婦であった頃からのスタートでした。それから60歳まで、会議通訳の現場で働き続けられたことは、今思い返せば奇跡のようにも感じられます。

今日は、私が「通訳者」として過ごしてきた30年間、そして「60歳」という節目を迎えた時に考えたことをお話ししていきたいと思います。

通訳を始めた30歳の私ー 夢にも思わなかった世界へ

30歳になろうという頃、私はごく普通の専業主婦をしていました。英語は学生時代に学んでいたとはいえ、特に英語に自信があったわけではありません。ところが、ある日突然「英語を勉強してみたい」という強い気持ちが芽生えました。

そこから独学での挑戦が始まりました。最初は一冊の参考書やNHKの英会話講座から。けれども次第に「もっと本格的に英語をマスターしてみたい」と思うようになり、気づけば同時通訳という、当時の私にとっては夢のまた夢のような世界に足を踏み入れていました。

通訳の現場で学んだこと ー 30代から40代へ

30歳そこそこで通訳という仕事を始めた頃、現場はまさに修行の場でした。

会議通訳は「同時通訳」が基本です。話者の声を聴きながら、数秒遅れで日本語または英語に変換していく。その間、考える暇などほとんどありません。頭の中の引き出しを瞬時に開け閉めするように、次々と言葉を紡いていく必要があります。

最初は緊張で声が震え、頭が真っ白になることもありました。それでも「この世界でやっていこう」と思えたのは、通訳という仕事がただの言葉の置き換えではなく、「人と人とをつなぐ」大切な役割だと実感したからです。

40代に入ると、体力的にも精神的にも少し余裕が出てきました。けれども通訳の現場は常に挑戦の連続です。分野は政治、経済、医療、科学技術と幅広く、毎回新しい知識をインプットする必要がありました。私の40代は「準備と実践」の繰り返しで過ぎていったと言えるように思います。

50代の通訳者として ー 経験の重みと新たな課題

50代になると、通訳の現場で「ベテラン」と呼ばれることが増えてきました。経験を積んでいる分、安心感を与えられるのは嬉しいことでしたし、同時通訳のスピード感にもだいぶ慣れてきていました。

しかし、50代ならではの課題もありました。それは「体力」と「集中力」です。通訳は肉体労働でもあるのです。長時間の会議では頭をフル回転させ続けなければなりませんし、睡眠不足や体調不良はすぐに仕事に影響します。

そこで私は、50代から生活習慣を意識的に変えるようになりました。

● 睡眠時間をしっかり確保する

● 食生活をできるだけ規則正しくする

● 軽い運動で身体をほぐす

これらは小さな工夫でしたが、60歳まで通訳を続けられた大きな支えになったと思っています。

60歳を迎えたとき ー 通訳者を続けていくか、やめるか

60歳という年齢は、多くの人にとってひとつの節目になる年齢です。私も同じでした。

「これからもずっと通訳を続けていけるのだろうか?」                           「そろそろ引き際なのではないか?」 そんな思いが心をよぎりました。

通訳者という仕事は、常に最新の知識や時事問題に触れていなければなりません。若い通訳者がどんどん育ってきており、時代の流れも変化し続けています。そんな中で60歳を迎えた私は、正直に言えば、少し不安を感じるようになってきていました。

けれども、60歳になったからこそ見えてきたものがあります。                      それは「経験が与えてくれる落ち着き」です。若い頃のように焦ることなく、冷静に話しを受け止め、必要な言葉を選んで届けられる。そうした安定感は、年齢を重ねたからこそ得られたものだと思うのです。

通訳者という仕事と、60歳の私

通訳とは、単に言葉を置き換える仕事なのではありません。そこには、話者の意図をくみ取り、聞き手に分かりやすく伝えるという大切な役割があります。

60歳まで続けてきて実感したことは、通訳者に必要なことは「完璧な英語力」だけではない、ということです。むしろ必要なのは、

● 相手の気持ちを想像する力

● 状況を冷静に判断する力

● そして、伝えることを楽しむ心

この3つが揃ったとき、通訳という仕事が本当に生き生きとした仕事になるのだと思います。

60歳を超えて学び続けるということ

60歳で区切りをつける人もいれば、そこから新しい挑戦を始める人もいます。私は60歳でこの仕事から第一線を退きましたが、これからの人生は、もっと別のことに目を向けて新しく楽しい毎日を過ごしていきたいと考えています。

通訳者としての仕事はやめましたが、私の学習するという習慣は、私の生活の一部として今も残っています。

「60歳から学んでも遅いのでは?」とよく人に言われますが、そんなことはありません。私自身、30歳から英語を本格的に学び始め、60歳まで続けることができたのです。始めるのに遅すぎることはありません。続けることで必ず何かが積み重なっていきます。

若い世代の通訳者さんへ、そして、これから英語を学ぶ方たちへ

もしこの記事を読んでくださっている方のなかに、若い通訳者を目指す方がいたら、私はこう伝えたいです。

「60歳まで続けられる仕事はそう多くはありません。仕事はやはり大変だけど、その分、得られる喜びもうんと大きいのですよ」と。

そして、これから英語を学ぼうとしている方たちへは、                      「年齢は関係ありません。通訳者を目指さなくても、英語を通じて世界は広がります。60歳を過ぎても、学ぶ楽しさはずっと続きますよ」とお伝えしたいです。

まとめ ー 通訳と60歳と私のこれから

30歳から60歳まで、私は通訳という仕事と共に歩んできました。決して楽な道ではありませんでしたが、学び続けること、挑戦し続けることの大切さを身をもって知ることができました。

60歳を迎えた今、私は「通訳」という言葉を聞くと、今までの疾風怒濤人生を振り返り、私は私の人生を精一杯生きてきたのだという、懐かしく暖かい気持ちになります。そして、もう一度人生をやり直せるとしても、きっと同じような人生を選ぶのだろうと思うのです。

通訳は、60歳を超えても学びの種を与えてくれる仕事です。これからも、人生を楽しみながら「言葉の力」を信じて歩んでいきたいと思っています。

そして最後に、この記事を読んでくださったあなたに向けて、少しだけメッセージを贈らせてください。

60歳からでも学べますよ ー あなたへのメッセージ

ここまで私自身の通訳人生について書いてきましたが、最後にどうしてもお伝えしたいことがあります。 それは、「学びに遅すぎることはない」ということです。

先程も書きましたが、私は30歳から英語を学び直し、そこから60歳まで通訳者として働いてきました。始めた時も決して若くありませんでしたが、仕事を積み重ねていくうちに、気づけばプロとして長い時間を歩んで来ることができました。

もし今、「私、60歳なんだけど、もう遅すぎますよね?」と思っている方がいらっしゃったら、どうか安心してください。全く遅くありません!学びを始めるのに必要なのは、年齢ではなく「やってみたい」という気持ちだけなのです。たとえば一日10分のリスニング、好きな映画を英語音声で観てみる、英語の本を読んでみる ーほんの小さな一歩からでも十分なのです。

もしかして通訳という職業を特別なものに感じていらっしゃる方がいるかもしれませんね。かつての私がそうであったように。でもみんな最初は初心者です。60歳から英語を学び始めた方も、70歳で新しい趣味として学びだす方も、たくさんいらっしゃいますよ。学ぶ姿勢を持ち続けることが、何よりも心を若くしてくれるのです。

そしてもうひとつ大切なことは、「比べないこと」です。若い人の方が覚えが速いのは自然なことです。でも、年齢を重ねた方には、人生経験という大きな財産があるのです。英語の文章を読んだ時に背景をより深く理解できたり、そうした「人間としての厚み」が、学びをより豊かにしてくれるのです。

どうか60歳からの一歩を恐れないでください。私自身がその証拠です。始める勇気と、続ける工夫さえあれば、英語も通訳も、どんな学びでも、必ず貴方の力になります。

 

 

 

 

 

 

 

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