元会議通訳者です。最初の1,2年は各種の翻訳をしました。同時通訳者としての主な領域は、製造業全般、通信、ITの分野です。これまでに携わった業種は多岐に渡っており,、各国の文化、政治関係、医療関係などもあります。
元会議通訳者です。最初の1,2年は各種の翻訳をしました。同時通訳者としての主な領域は、製造業全般、通信、ITの分野です。これまでに携わった業種は多岐に渡っており,、各国の文化、政治関係、医療関係などもあります。
はじめに|通訳者の世界は、思っているより入口が多い
「通訳者になりたい」
そう思ったとき、多くの人が最初に感じるのは、期待よりも先にくる不安や戸惑いではないでしょうか。
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どんな英語の勉強をすればいいの?
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資格は必要なの?
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通訳って、特別な才能がある人だけの世界?
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独学では無理なの?
これらは、かつての私自身が、何度も自分に問いかけていた疑問です。
英語が好きで、学ぶこと自体は楽しい。
でも、それを「仕事」にする道筋は、どこにもはっきり書かれていませんでした。
実は、通訳者になるための決まったルートは存在しません。
ただし、自分の現在地を知り、次にどんな力を伸ばせばよいのかを考えるために、
「資格」や「試験」はとても有効な道しるべになります。
この記事では、
英語・資格・通訳・難易度という4つの視点から、
通訳者を目指す道の全体像を、できるだけやさしく整理していきます。
① 英語の基礎力を測る資格|英検・TOEIC・TOEFL
通訳を目指す人が、最初に触れることが多いのが「英語力を測る資格試験」です。
これらの試験は、通訳者になるための必須条件ではありません。
しかし、自分の英語力を客観的に知る指標として、とても役立ちます。
英検(実用英語技能検定)
日本で最も親しまれている英語資格です。
特に準1級・1級は、通訳や翻訳を志す人にとって、ひとつの目安とされることが多い試験です。
面接試験ではスピーキング力も問われるため、
読む・聞く・話す・書く力をバランスよく確認できます。
TOEIC
主にビジネス英語に特化した試験です。
通訳志望者の場合、800点以上をひとつの目標にする人が多く、
特にリスニング力の確認に向いています。
TOEFL/IELTS
海外の大学・大学院進学を想定した試験です。
将来、英語圏で通訳訓練を受けたい人には、必要になる可能性があります。
これらの試験は、
合格や点数を誇るためのものではなく、
**「今の自分の英語力を映す鏡」**として使うのがおすすめです。
② 通訳を仕事にしたい人へ|全国通訳案内士という国家資格
通訳を職業として考えるなら、ぜひ知っておきたいのが全国通訳案内士試験です。
これは、日本で唯一の通訳に関する国家資格で、
外国人観光客を案内するための正式なライセンスです。
筆記試験では、
英語・日本地理・日本歴史・一般常識が問われ、
さらに口述試験もあります。
英語力だけでなく、
日本の文化や社会を自分の言葉で説明する力が求められる点が特徴です。
観光通訳や文化紹介に関心がある方には、
非常に相性の良い資格と言えるでしょう。
③ 実務レベルを測る資格|通訳技能検定・翻訳検定
より専門的な通訳・翻訳の力を測る試験も存在します。
逐次通訳や同時通訳など、
実際の通訳場面を想定して技能を評価する検定は、
実務に近い難易度を体感できます。
翻訳検定は翻訳寄りの試験ですが、
英日・日英の変換力を鍛えるという意味で、
通訳者が文章力の訓練として利用することもあります。
これらの資格は、
「上を目指すための通過点」というより、
今の自分の通訳スキルを客観的に測る指標として使うとよいでしょう。
④ 訓練校・大学院という選択肢|実践の場で磨く
通訳のスキルは、試験勉強だけで身につくものではありません。
実際の音声を聞き、理解し、
瞬時に別の言語で再構築する力は、
実践の中で磨かれていくものです。
そのため、多くの通訳者は一度は通訳訓練校で学んでいます。
また、大学院で通訳コースを設けている学校もあります。
ただし、独学の道が閉ざされているわけではありません。
私自身は30歳前後から独学で英語を学び始め、
毎日の積み重ねで通訳の道を切り開いてきました。
⑤ 難易度は高い?|でも、道はひとつではない
通訳という仕事は、確かに簡単ではありません。
英語力に加えて、判断力・集中力・表現力が同時に求められます。
けれど、通訳の世界にはいくつもの入口があります。
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観光通訳 → 通訳案内士
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会議通訳 → 訓練校・実務訓練
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まずは英語力確認 → 英検やTOEIC
どれが正解、というものではありません。
このまま何もしなかったら、どうなりますか?
ここで、少し立ち止まって考えてみてください。
もしあなたが、
「通訳に興味はあるけれど、難しそうだから」
「資格もないし、今さら無理だから」
そう思って、今日も何もせずに一日を終えたとしたら――
一年後、あなたはどこにいるでしょうか。
おそらく、今と同じ場所です。
でも、それはあなたの能力の問題ではありません。
「動かなかった」だけなのです。
完璧な準備が整ってから始めた人など、
私は一人も知りません。
あなたは、どの入口を選びますか?
通訳者になる道は一本ではありません。
だからこそ、選ぶのはあなた自身です。
迷いながら、半信半疑で、
それでも「やってみよう」と思った人が、
少しずつ前に進んでいきました。
もし今、
「怖いけれど、惹かれる」
そう感じているなら、
それはすでに入口に立っている証拠です。
ここまで読んでくださったあなたは、きっと今、こう感じているのではないでしょうか。
「自分にも、通訳への道はあるのだろうか」 「英語は好きだけれど、本当に仕事にできるのだろうか」 「資格がない今の自分は、まだスタートラインにも立っていないのではないか」 そう思ってしまう気持ちは、とても自然なものです。 なぜなら、通訳と言う仕事は、外から見ると、”完成された人だけが立てる場所”のように見えるからです。
でもはっきり言えることがあります。
最初から「通訳らしい人」など、どこにもいません。
英語が完璧な人も、 資格をすべて備えていた人も、 迷わず一直線に進めた人も、 実はほとんどいないのです。
多くの通訳者は、
● 遠回りをし ● 立ち止まり ● 「向いていないのでは」と悩み ● それでも英語から離れられず
その積み重ねの先で、ようやく「通訳という仕事」に出会っています。 だから、今のあなたが、迷っていることも、不安を感じていることも、立ち止まっているように見えることも、すべて、通訳への道の途中にあります。
資格は確かに役に立ちます。 試験も、進む方向を考えるヒントになります。
けれど、それらは「あなたの可能性を決めるもの」ではありません。
可能性を決めるのは、 今日も英語に触れようとしている、今のあなた自身です。
終わりに|資格は灯り、歩くのはあなた自身
私が英語を学び始めた頃、
「通訳なんて夢のまた夢」だと思っていました。
資格も、仲間も、明確な道筋もありませんでした。
それでも、毎日の一歩一歩が、
いつの間にか現実を変えてくれました。
資格や試験は、確かに道を照らす灯りです。
けれど、その先を歩くのは、あなた自身です。
焦らず、比べず、
自分のペースで進んでください。
言葉を通して人とつながる喜びは、
きっとあなたの人生を豊かにしてくれます。

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