なぜ今回は「私」ではなく、「渡辺謙]なのか?
このブログでは、私自身の英語学習方法や通訳としての経験についてお話してきました。
でも、正直に言うと(書くと、ですが)最近ちょっと気分転換をしたくなったのです。
英語を学び始めた人のなかには、私の経験だけじゃなく、他の人のストーリーからも勇気を貰える 人がいるのでは?と。
そこで思い浮かんだのが俳優の渡辺謙さんです。
なぜって、この人は、あの世界的大ヒット映画「ラストサムライ」に出演した時、年齢は42歳くらいで英語学習を始めたばかりだったそうなのです。
しかも、それまで英語はまったく話せなかったというから驚きです!
もし、この話しを知らなかった人が読めば、
「えっ?40代から始めてもハリウッドで通用する英語が身に付くの?」と、きっと目が覚めるような刺激になるはず、、、
そんな思いで、今回は私自身のことではなく、
「40代から英語を学習し始め、世界の舞台に立った日本人」のお話しをしていくことにします。
俳優、渡辺謙さん
今やハリウッド映画やブロードウェイの舞台で、世界中の観客を魅了する国際派俳優ですが、40代半ばまでは、英語とは無縁の人生を送っていたのです。
それが今や、クリストファー・ノーラン監督の「バッドマン ビギンズ」や、スピルバーグ製作 「硫黄島からの手紙」に出演し、さらにはブロードウェイ「王様と私」で主演を務めるまでに。
その裏側には、あるひとりの女性との出会いがありました。 キャスティングディレクターであり、演出家であり、そして英語教育者でもある奈良橋陽子さんが その人です。
彼女が考案した「ドラマメソッド(R)」が、渡辺謙さんを短期間で「使える英語」の世界へと引き上げました。
1 英語学習のスタートは40代半ばから!
渡辺謙さんが英語を学習し始めたのは、「ラストサムライ」(2003年)の出演が決まってから。 彼の年齢は42~43歳。 それまでは海外経験もほとんどなく、英語はゼロに等しい状態。
「大河ドラマ「独眼竜政宗」で大成功した俳優が、なぜ英語?」と思う人も多いことでしょう。
でも、ハリウッド大作に出演するとなれば、セリフも感情表現も、すべて英語でやり切らなければなりません。 中途半端な英語では役を全うできない、、、そんな覚悟が、彼を動かしました。
2 渡辺謙を駆り立てた「目的意識」のすごさ
英語学習って、途中で挫折してしまう人も多いですよね。
続けられるかどうかの分かれ道は、「何のために学習するのか」がハッキリしているかどうかだと、私は思います。
渡辺謙さんの場合、その目的は明確でした。 「世界の舞台で、日本人として胸を張って演じたい」 そのためなら、どんな努力も惜しまない。
撮影までの限られた時間、彼は朝から晩まで英語漬け。 スクリプトをひたすら声に出し、発音を磨き、イントネーションを身体に染み込ませる日々でした。
3 奈良橋陽子さん考案:「ドラマメソッド(R)」とは?
ここで登場するのが奈良橋陽子さん。 ハリウッドのキャスティングディレクターとしても有名な方ですが、同時に英語教育者でもある方です。
彼女の「ドラマメソッド(R)]は、教科書ではなく「演技」で学習する英語学習方法。 場面と役柄を設定し、その人物になりきって英語を話します。 声の抑揚、感情、表情、ジェスチャー、、、五感すべてを使うのが特徴です。
奈良橋さんはよく「感情を伴った言葉は忘れない」と語っていたそうで、これは本当に確かに理にかなっていると思います。
4 俳優だからこそハマる!身体を使った演技的英語学習法
渡辺謙さんはこのメソッドに全力で取り組みました。 たとえば「怒りのシーン」なら本気で声を張り上げる。 「別れの場面」なら、沈黙や視線の動きまで演じる。
こうした身体を使った学習は、机に向かって覚える勉強とはまったく違います。 セリフや単語が、ただの知識ではなく「経験」として記憶に残るのです。
5 7~8ケ月で「冗談が言える」ほど英語が定着した秘訣
驚くべきことに、渡辺謙さんは約7~8か月で、英語を冗談で言えるほどになったと言われています。 これは単なる暗記ではなく、文化的背景やニュアンスまで理解していたからに他なりません。
英語で冗談を言う時、単語を知っているだけじゃ成立しません。 間や表情、声色、、、そういった「空気感」も含めて伝える必要があります。渡辺謙さんは演技の 能力をそのまま英語に応用して、それを短期間でモノにしたのです。
6 ドラマメソッドを他の学習者が応用するには?
演技経験がなくても、この方法は応用できます。 たとえば「空港でチェックインする場面」を設定して、友達と英語でやり取りしてみる。 「道に迷って観光案内所で質問するシーン」を演じてみる。
頭だけじゃなく身体を使うと、驚くほど英語が記憶に残ります。
7 年齢、立場に関係なく、学習の始め時は「今でしょ!」
「バットマンビギンズ」で渡辺謙さんが演じたのは、リーグ・オブ・シャドウズの首領ラース・アルグール。 ブルース・ウェインと初めて出会う雪山のシーンでの、静かで威厳ある英語は圧巻でした。 42歳から学習した人とは思えない自然さでした。
この事実が証明しているのは、「始めるのに遅すぎることはない!」ということ。 思い立った瞬間が、貴方にとってのベスト・タイミングなのです。
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