英語を勉強している方の中には、「英語を使った仕事をしてみたい」「通訳として働いてみたい」という方が多いと思います。しかし同時に、こうも考えるのではないでしょうか。
「英語を使う仕事って、バイトから始められるものかな?」「通訳の時給って、どのくらいなんだろう?」
実は、私が会議通訳者として働いていた頃に、友人や知り合いにこう聞かれることがありました。「通訳って、やっぱりバイトの時給とは違って、かなり高いんでしょ?」「英語がある程度できたら、学生バイトのつもりで通訳の仕事ってできるの?」
今回は、そんな疑問に答えてみようと思います。私自身の体験や、私の周りで見聞きしたことを交えてお話ししていきたいと思っています。
英語を使ったバイト ー 時給の相場は?
英語を使った仕事といえば、まず思い浮かぶのが「英会話スクールの受付バイト」や「観光地での接客バイト」です。 最近ではインバウンド需要が高まっており、カフェやホテル、空港などでも「英語が話せると時給アップ」というケースが増えています。
普通の接客バイトが時給1100円前後だとすると、英語が使える人材だと1300~1500円になることもあります。
特に東京や大阪のような大都市では、英語ができるだけで採用されやすく、さらに「英語手当」がつくこともあります。 これは、、学生さんや主婦の方にとっても魅力的ですよね。
通訳バイトって本当にあるの?
「通訳のバイト」っていうと、少し不思議に思われるかもしれません。 が、私が通訳者として働いていた頃でも「アルバイト通訳募集」という求人をごくたまにですが、 目にすることがありました。
たとえば、
● 国際展示会での来場者案内
● 外国人環境客向けのイベントサポート
● 海外アーティスト来日時の付き添い通訳
このような仕事は、プロの通訳というより「日常会話レベルの英語ができればOK」というものが多く、学生さんでも応募できるケースがありました。
時給は2000円前後が多く、普通のバイトと比べれば確かに高めでした。 でも、「通訳のバイト = 高時給でラク」というイメージはちょっと違います。
相手の言うことをすぐに理解して伝える必要があるため、精神的にはけっこう大変な仕事なのです。
元通訳者が見た「時給の壁」
ここで少し、私自身の経験をお話しさせて頂きますね。 私は30歳頃から英語を独学で学び始め、専業主婦から会議通訳者へと転身しました。
プロの通訳者として活動し始めた頃は、時給というより「半日○万円」「一日○万円」という形で報酬を頂くことが多かったです。
正直な話をすると、最初は「学生のバイトとは全然違う!やはり通訳の収入はかなり高いんだなぁ」と思いました。
けれど、実際に仕事をやってみると、準備に何日もかかる。一日の仕事で徹夜するほどのリサーチをする。現場では、失敗が許されない緊張感と戦う、、、。
そう考えると、「高い時給」に見えても、決して楽に稼げるわけではありませんでした。
むしろ「この時給に見合うだけの力を出せるのか?」という大きなプレッシャーが常について回りました。
学生バイトと通訳バイト ー 英語の使い方の違い
学生時代にカフェで英語を使うバイトをしていた人が、後に通訳を目指すケースは少なくありません。
ただ、両社の違いは明確です。
● バイトでの英語 ー 必要なのは、「伝わればOK」というコミュニケーション力
● 通訳での英語 ー 必要なのは、「正確に、すばやく、場にふさわしい言葉で伝える力」
つまり、英語を使うという点では同じでも、求められるレベルや責任が大きく違うのです。
英語を活かしたバイトから通訳へのステップアップ
では、英語を活かしたバイトをしている人が、本格的に通訳を目指す場合、どうステップアップすればいいのでしょうか?
私の周りで成功した人達に共通していたことは、
1 学生時代に英語を使うバイトを経験していた
2 留学や専門学校で通訳訓練を受けていた
3 通訳エージェントに登録して実務経験を積んでいた
という流れでした。
特に、最初の「バイト経験」が、実はとても大事なのです。 人前で英語を話すことに慣れる。外国人と接することに抵抗がなくなる。
こうした小さな積み重ねが、後のキャリアに大きな影響を与えるのです。
通訳バイトのメリットとデメリット
改めて整理すると、通訳バイトにはこんな特徴があります。
メリット
● 普通のバイトより時給が高い
● 英語を実践的に使える
● 将来のキャリアにつながる
デメリット
● プレッシャーが大きい
● 求められる英語力が高い
● 勉強や準備の負担がある
私自身、会議通訳をしていた時も、常に「準備8割、現場2割」という感覚でした。
バイトであっても「現場での責任感」という点は変わらない、ということを知っておいて頂きたいです。
英語を使った「カフェ英会話バイト」の魅力
英語を使うバイトの中でも人気なのが、「カフェ英会話」や「外国人と一緒に働ける接客バイト」です。ここでの英語は、難しい単語や文法を知っていなくても大丈夫。
「英語で”How are you?”と声をかける」「お客さんの注文を英語で復唱する」、、、それだけでも立派な英語の実践です。
初心者の方は、まずはこうした「日常会話レベルでOKのバイト」から始めてみると安心です。特に観光地のカフェやホテルでは、英語に慣れていない学生さんや主婦の方でも採用されることがあります。
大切なのは、「完璧な英語」を目指すことよりも「相手に伝える勇気を持つこと」。 バイトの現場は、まさにその練習場になるのです。
英語初心者にありがちな「聞き取れない問題」
英語を使ったバイトや通訳バイトを始めると、初心者が最初にぶつかる壁は、「聞き取れない」ということ。 授業や教材で聞く綺麗な英語と、実際に外国人が話す生の英語は、スピードも発音も違います。
でも安心して下さい。 聞き取れないからといって、必ずしも失敗ではありません。 「もう一度言って頂けませんか?」と聞き返す勇気を持つことの方が、ずっと大切なのです。「Pardon?」や「Could you say it again?」を言われても、相手は意外と気にしませんし、むしろ、ほとんどの場合、丁寧に言い直してくれるものです。
英語初心者がバイトで大事にしたいのは、
● 聞き取れなくても落ち込まない
● 笑顔で聞き返す
● 短いフレーズで返す
この3つです。
通訳と翻訳の違い ー 初心者が混同しやすいポイント
英語は、学習し始めた方の中には、「通訳」と「翻訳」をほぼ同じものと思っている人も少なくないようです。
● 通訳:会話をその場で聞いて、その場で伝える
● 翻訳:文章を読んで、日本語に書き直す
この違いを理解すると、自分がどちらに向いているのかも見えてきます。 例えば、「会話の瞬発力は苦手だけど、文章をじっくり読むのが好き」という方は翻訳の方が合っているかもしれません。 一方、「人前で話すのが好き」「場の雰囲気を読むのが得意」という方は通訳向きと言えるでしょう。
私は、「生きた言葉をその瞬間に伝える」という緊張感に魅力を感じていたせいか、主に通訳者としての仕事をしてきました。
通訳バイトを始める前に準備しておきたいこと
通訳バイトに挑戦する前に、初心者でもできる準備があります。
1 数字の言い方を覚える
値段や日付、時刻など、数字は会話によく出てきます。ここをスムーズに言えるだけで、かなり頼りがいのある印象になります。
2 自己紹介を英語で練習する
「はじめまして」「「私は~です」など、上手く自己紹介できると、現場で安心感が生まれます。
3 身近な単語を英語にしてみる
たとえばカフェなら、「砂糖はsugar、ストローはstraw」と覚えておくだけでも、仕事の現場では大きな助けになります。
こうした小さな準備を積み重ねると、いざ通訳バイトをする時にも緊張が和らぐものです。
「英語バイトの失敗談」から学ぶ
私自身も含め、周りの通訳者仲間から聞いた「英語バイトの失敗談」はとても勉強になります。
ある人は、学生時代に、外国人に「水を下さい」と言われた時、”water”が聞き取れず、「ウォーター?えっ?ウォーカー?」と慌ててしまったという苦いエピソードをもっている人がいました。でもその経験がきっかけで、「日常単語をもっと学習しよう」とやる気になり、今では、そのことを笑い話しにしてしまっています。
また別の方は、展示会の通訳バイトで、専門用語が分からず固まってしまったことがありました。 けれど、後で担当者に素直に謝ったところ、「一生懸命やってくれてありがとう」と逆に感謝されたそうです。
失敗は誰にでもあります。むしろ「失敗をどう生かすか」が、その後の英語学習を大きく変えていきます。
英語、通訳、バイト、時給を学びに帰る
英語を使ったバイトや通訳の経験は、「お金を稼ぐこと」だけでなく「学びの場」でもあります。
● 英語: 生きた英語を学べる
● 通訳: 瞬発力や責任感が身につく
● バイト: 気軽に挑戦できる
● 時給: 自分のスキルが評価される指標になる
私が会議通訳者として働いていた頃も、「報酬」という形でスキルが目に見えるのは大きな励みではありました。そして同時に、「この時給にふさわしい力を出さなければ」と言う責任感が、私を成長させてくれました。
初心者の方にとっても、「時給が少し高いバイト」を経験することは、自分の努力が形になったと実感できる素晴らしい機会です。
これから英語を学ぶ方へのメッセージ
最後に、これから英語を学び始める方や、「英語を使ったバイトをしてみたい」と考えている方へ。
もし今、「英語を使った仕事をしてみたい」「通訳に挑戦してみたい」と思っていらっしゃるなら、是非一歩踏み出してみてください。 最初は時給2000円の英語バイトかもしれません。でも、その小さな一歩が、やがて「通訳」というキャリアに繋がるかもしれませんよ。
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